カーソルの下のラブレター

ほんのささやかな言葉のやり取りは、それからひと月くらい続いた。

他にこの場所を使うひともいないから、ずっとふたりだけで。


そんなある日。

机の下で、何かが光って。


「……あ」


透明な、下敷き。

落としもの。

渡辺さんのかな。


違ってもいい。

会いに行く口実ができたことに、つい口元が綻んだ。


自分のクラスじゃないってだけで、なんだか入りづらい雰囲気があって。

だからずっと、机のチャットの相手を気になりながら、確かめに行くこともできなくて。


せっかくのチャンス。

昼休みを狙って、後ろのドアからそっと覗き込んだ。

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