運命
柔道の練習を止め、顧問の前に集まる。

顧問の横には見知った顔があった。


「えー、今日から柔道部に入ることになった蒼山海さんだ」


簡単な自己紹介を顧問がする。

「俺、前の学校でも柔道部やってました。けっこう強いんでよろしく」


なんだよその自己紹介は、と言いたくなるような自己紹介だった。柔道部員はなにか言いたげな顔をしていた。

「以上だ、練習に戻っていいぞ。」
自己紹介も終わり個人個人自分の練習に戻っていく。
しかし柔道部員達は転校生の話でもちきりだ。
「なんだよあいつ、自分で強いとかぬかしてやがる。」

「生意気だなぁ」

「ちょっとこらしめてやって下さいよ光さん」

練習をしていたのに同学年の男子に話をふられた。

「やりたければ自分でやれば、自分が勝てるか自信ないからって他人に頼るんじゃねぇ」

ヒューン

その場に冷たい風が吹いた。

その場に数分間冷たい沈黙が流れた。
「…そっ、そうですよね。」
その沈黙に堪えられなくなった男共は話だす。


「おい 早くあいつに勝負挑んでこいよ。」

「なんで俺なんだよ。」

「言い出したのはお前だろ」

男共の口喧嘩を俺は隣で聞いていた。
(そもそもあいつと関わりたくない)

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