運命
パタンと持っていた本を閉じた。


チクタクと時計が時を刻む音が静かな図書室に響いている。

自分の腕時計をみると5時5分前。

(そろそろ光を迎えに行かないと)

そう思い私は体育館に向かうために図書室からでた。

図書室からでてしばらくすると一つの違和感を覚えた。
ザワザワ、がやがや
体育館に近づくにつれ生徒の数が増えているのだ。

どうしたんだろう?
そう思った私は群がる人の波に近づいていった。
すると生徒達の話が耳に入ってきた。

「ねぇ、本当なの!?
転校生と光様が試合してるって。」


「本当らしいぜ、話によると転校生が光さんに試合を申し込んだって。」

「どっちが勝つのかな?」



どうやら光と転校生が試合をしてるらしい…
転校生はやはり光にちょっかいをだしたようだ。

(まぁでも光はかなり強いから負けないとは思うけど……)
面白そうだから見よう!

「どいて、どいて」

無理矢理人波の中に入っていき、人波ができている先頭までいく。

「うそっ……。」


目の前でおきた光景に唖然とする、



ドカン


「……ッ」



柔道場の床に仰向けで倒れている光、それを見下ろす転校生。



ザワザワと騒ぎ始める生徒達。

「うそっ、光さんが
"負けるなんて" 」


誰かが小さく呟いた言葉によって私は初めて光が負けたということを理解した。
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