運命
「俺と光が勝負して光が勝ったら光のことを呼び捨てにしない。
だけど俺が勝ったら光は俺のことを呼び捨てにする。て言うのはどうだ?」

腕を組んで考え込んだ。
転校生の突拍子もない案にのるべきか、のらないべきか。
でもこの勝負に勝てば奴から解放される。
そう思った俺は、両手を腰にあて転校生に返事を返した。


「いいぜ、その勝負受けてたってやる」

転校生から解放されたいと言うのも理由の一つだが、負けず嫌いの性格が出たって言ってしまえばそれだけだ、それに俺は認めたかっただけかもしれない、一年前の自分とは違うということを。


しかしこの時辞めておけばよかったと後に後悔する。

************



「え〜、ただ今から暁光対蒼山海の試合を開始する。先に一本取ったほうが勝ちだ。」



「「わっー!!!」」


審判の声と同時に周りに群がっていた生徒達が騒ぎだす。

いったい何処から話が漏れたのだろうか?


(集中しないと)
パンパンと2,3回自分の頬を叩く。
目の前にいる転校生は余裕そうだ、その余裕がいつまでもつのかな?

(そう簡単には俺は倒されない、力の差を見せつけてやる)

俺は目の前の転校生を睨みつけながら奴を倒すつもりでいた。



「では、始め」

審判の声で試合が始まった、それと同時に俺と奴は動きだした。



激しい組み合いー。


うまく奴の体制を崩し、そのまま投げ技に持っていくつもりでいたが…



「………くっ…」


うまく体制を崩せない。



足をうまく絡ませ、体制を崩そうと試みる。

しかし奴はうまく避ける、むしろ自分のほうが危ない。

体格差だろうか?
何度も体制を崩しかける。

(くそっ、こんな奴に負けるわけにはいかない)


最後のかけに出た。

こうなったら力づくで、そう思い無理矢理投げる体制に入る、

しかし…



(しまった…)
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