傍観少女の世界

初めての会話


珍しく朝早く目が覚めた私はいつもより早く家を出た。

清々しい朝だ。

犬の散歩をしている人、新聞を取りに家から出てくる人が全く居ない時間帯なので誰とも会話をせずに通学路を歩き、学校の校門まで辿り着いた。

そしたら、反対側から朝霧悠飛があるいて来た。

「あ。」

「おはようございます。」

私は挨拶をして先に校舎に向かって足を進めた。

「八神だよな?同じクラスの。」

「はい。」

「いや、良かった。俺、こんな早く学校に来るの初めてでさ。話相手が居て良かったよ。」

朝霧は私の隣を何故か歩き、弁解するように話出した。

私は余り話たく無いのだが。

「八神は俺の名前を知っているか?」

「・・・朝霧悠飛。」

「おお‼知ってたんだ。」

「朝霧悠飛は優等生だから。」

私が優等生と言うと朝霧悠飛は顔を顰めた。

よっぽど、その言葉が嫌いなんだろう。

「あのさ、フルネームじゃなくて苗字か名前で呼んでくれない?」

「・・・霧で。」

「は?・・・あっはっはっはっは。八神って始めて話した奴にあだ名付けるか普通?」

笑う要素があったのかは不明だ。

ただ、苗字か、名前で呼ぶのが面倒だっただけである。

「じゃぁ、俺は・・・神って呼ぶな。」

「嫌。」

「即答かよ。八神って面白いな。」

「初めてよ、面白いなんて言われたの。」

「じゃぁ、これからも仲良くしような‼」

笑顔で言われしまったので反論出来なかった。

仲良くなんてするつもりは無かったのに。

彼が何故クラスメイトに気にいられるのか少し分かった気がした。

これが私と彼が初めて会話をした所だ。

これがきっかけで朝霧悠飛が話掛けて来るようになるとは考えていなかった。
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