Tricksters
ゼンって、総理大臣の息子……?
「息子との話し合いに時間を裂くほど暇じゃない」
「申し訳ございません。わざわざこんな場所まで、父さんがいらっしゃるとは思いもしませんでしたので」
ユカリさんが何かを言おうとしたのを、アイツは片手で征した。
佐藤さんたち三人も壁に沿うように、直立姿勢で同室している。
あと総理大臣のSPが五人いて、俺を睨み付けている。
徳田総理は、国民にも非常に人気ある総理大臣だ。支持率もうなぎ昇り。
強面だけどワイルドな印象ある容姿に、有言実行の誠実さも人気の秘訣だ。
実際に目の当たりにすると、すごい迫力だ。
「政府支援金の二十億回収はご苦労だった。武尊之の経営不振は疑わしい部分も多く、私的には支援の必要はないという意見だったが、関係閣僚からの声明が強く、政権運営の為にやむ追えず息子に回収させた」
総理が真顔で、俺にとんでもない発言をした。
「父さん、彼は一民間人ですよ? 今の失言撤回してください」
「善太郎。失言とは、周囲に漏れなければ失言にはならぬ。覚えておけ」
総理がギロリと俺を睨み付けた。
こっ……こぇ……
生きてる心地がまったくしない。