Tricksters
アイツは俺から視線をそらすと、また窓の外を眺めた。
「淳一の利用価値は、武尊之に限りなく近く遠い存在で
俺が危害を加えた佐伯建設にいたから。
騙しやすそうな奴だし、行動パターンも読みやすい。
それに素直で真っ直ぐだから」
「カッコつけて悪人ぶるんじゃねーよ。
善太郎のくせに!
フィーチャネスを潰したのだって、あの親父の命令なんだろ?」
それを負い目に感じて、このビル買い取って佐伯さんを部長に採用して……
おまえ、完璧に善太郎だって。
頬杖ついたまま、アイツはボーっと窓の外を眺める。
それから、舌打ちした。
「何回も人の名前連呼するんじゃねーよ!」
「だって、善太郎だから善太郎だろ! 善太郎って言って何が悪いんだよ!」
「だから、連呼するな! その椅子ごと、ここからオフィス街に投げ捨てるぞ!」
「やれるもんなら、やってみろよ!」
「ああ、やってやる。俺を甘く見るな」
アイツが俺の座る椅子に手をかけた。
やべぇ柔道有段者。椅子持ち上げたりしないよな?
手足を拘束された俺。
完璧不利じゃん。
「うわーっ!」
椅子ごと、窓際まで運ばれた。
正確にはキャスターがついてて転がっていっただけだけど
「取り引きをしよう」
「なんの?」
「今日から、また此処で働いてくれるか?
正式に淳一を雇おうと思う」
可笑しくって笑いが止まらない。
コイツ、本当にバカだ。
「当たり前だろ
オマエからの手紙に書いてあったよな?
俺たちは組織だ。
そして
優しく冷酷に」
「俺たちは欺く
ようこそ。Trickstersへ
今日からまたよろしくな、相棒」
最低にスリリングな毎日は、終わらない。
Tricksters
The END
2011 9 22 ミヒロ
Tricksters2ッにつづく
