ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~《完》
大股に歩いて自分の席に
戻り、足元に置いてあった
通勤バッグを乱暴に掴む。
どうしたのかと呆然と
見守る周囲の視線を気に
する様子は、全くない。
集中する多くの仕事仲間の
目は完全に無視して、一瞬
だけ奈々の方を見ると、
「すみません。
今日はこれで早退します」
一方的にたったそれだけを
言い、ハンガーラックまで
歩いてコートを引っつかむと
腕にさげた。
そして、それ以上はもう
こっちの反応も見ずに、
背を向けて出口へと歩き始める。
「あっ、柚木クン――!」
ワンテンポ遅れてやっと
奈々がそう叫んだ時には、
もうその姿は廊下の向こう
へと消えていた……。
☆☆☆☆☆
_
戻り、足元に置いてあった
通勤バッグを乱暴に掴む。
どうしたのかと呆然と
見守る周囲の視線を気に
する様子は、全くない。
集中する多くの仕事仲間の
目は完全に無視して、一瞬
だけ奈々の方を見ると、
「すみません。
今日はこれで早退します」
一方的にたったそれだけを
言い、ハンガーラックまで
歩いてコートを引っつかむと
腕にさげた。
そして、それ以上はもう
こっちの反応も見ずに、
背を向けて出口へと歩き始める。
「あっ、柚木クン――!」
ワンテンポ遅れてやっと
奈々がそう叫んだ時には、
もうその姿は廊下の向こう
へと消えていた……。
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