執事の恋人~召しませ。お嬢様~
春華が霞んで見えるのは自分の涙のせい・・・



自分のキモチに素直になった時から、俺は春華を全身全霊で、守ろうと強く誓った。



なのに、俺には何もないーーー・・・



それが…情けない。



「斗希・・・」



深まった秋の冷たい風と潮の香りが頬を掠めてゆく。



「・・・」



俺を慰めるように、春華が俺の両頬に手で包む。



春華の手の温かさに俺の心は平静を戻していった。



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