別れの曲を君に(短編)


ごくり、とつばを飲み込む。


誰かが居残ってピアノの練習をしているにしては、奇妙だ。


もう既に校舎の中は、かなり暗くなっている。


なのに、音楽室は真っ暗のままだ。


誰が弾いているにしても、電気を付けないで居る理由が分からない――。


美智から教えられた『学校の七不思議』の一つ。


『夜更けに、1人で鳴り出すグランドピアの怪』のことが、脳裏に浮かんでは消える。


「ま、まさか、マジに学校の怪談……とかじゃないわよね」


や、やめてよね~~!!


綾は、縁起でもない想像を否定するように、ブルブルと頭を振った。

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