別れの曲を君に(短編)
こんな日は早く家に帰って、ゆっくりとお風呂にでも入るに限る。
校舎の東。
突き当たりの階段を下りれば、すぐ昇降口だ。
「あれ?」
階段まであと八メートルと言う所で、ふと、綾の足が止まった。
今、何か聞こえたような気がしたのだ。
ぽろん。
ぽろん、ぽろん。
ぽろん――。
「ピアノの、音……?」
それは、廊下の突き当たりの音楽室から聞こえた。
ぽろん。ぽろん。ぽろん――。
空耳では、ない。
確かにピアノの音だ。