万事急須っ!?
「私は……正真正銘の急須の精でございます。」
少女は着物の裾を強く握り締めた。
「はいはい。
俺と一緒に病院行こうか。」
俺は駄々っ子をあやす様にその少女を促した……が。
「だから誠に急須の精なんですってば!!」
俺の手を払いのけた。
そして大きく息を吸い込み……
「湯野 瑞希(ゆのみずき)、歳は23。
19XX年5月4日生まれ。
趣味は絵を描くこと。
身長は168と小さめで、体重は―…」
スラスラと呪文の様に言い始めた。
「待て待て!
ストップ!ストップ!!」
俺は慌てて彼女を黙らせた。
さっきは少女の顔が赤くなっていたのに、今は俺の顔が赤くなっていた。
「何でアンタが俺の個人情報知ってる?」
得意気に笑う彼女に問いかけた。
何なんだよ、この女!!!
今日会ったばかりだぞ!?
自己紹介してねーぞ?
危うく俺の体重までバラされるとこだった!
「アンタもしかして―…」
「やっと信じていただけました?
ですから、先ほどから申して……」
「俺のストーカー?」
「……はい?」