HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~



次にやることは決めている。


保健医に電話。


あたしはケータイを取り出すと、“林 誠人”のメモリを押した。


最初“エロ保健医”で登録してたのに、あいつに気付かれて無理やり変えさせられた。


ま、登録名なんてどっちでもいいんだけどね。


ってかエロ保健医、の何がいけないって言うんだよ。外れてないじゃん。


と思いながら電話を掛ける。


TRRR……


無機質な呼び出し音が鳴って、それでも3コール程で相手が電話に出た。


『話って何?』


低くてちょっとくすぐるような独特の声は紛れもなくあいつのものだったし、いきなり本題を出してくるあたり疑いようがない。


「ねぇさっき連れて行った久米、あいつ本当につき指?」


『さっきも言ったけどつき指してるようには思えなかったぜ?何でそんなことを聞くんだよ』


保健医は訝しげに声を低めた。


「ちょっとね…」


曖昧に言ってあたしはゆっくりと部屋を移動した。


『何だよ、えらく歯切れが悪いな。あいつがどうかしたのか?』それでも勘ぐってくる保健医。だけど、


『ああ…そいやぁあいつ右手の甲に傷痕があったな』と言い出した。


ちょうど二階に上がろうとしていたあたしは、階段の途中で足を止めた。




「傷痕―――……?」












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