HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
あたしは大人しくて目立たない森本さんより、久米の方が苦手だよ。
あたしは面倒くさそうに目を細めると、
「知らない。あたしだってまともに参加したことないもん」とそっけなく言った。
「久米くんは転校してきて間もないもんね。実行委員はクラスの出し物決めたり、率先してクラスを引っ張っていったり、まぁ特別なことは特にしないよ」
と乃亜が相手をしている。
その横であたしは、帰りにスーパー寄ってこ。なんて別のことを考えてた。
「ふぅん。面白そう♪」
だから久米がそんなことを言ってたなんて、全然知らなかった。
「はい。俺、やります。鬼頭さんと」
久米はあたしの腕を取り、強引に手を上げた。
は?
「ちょっと!何すんだよ。あたしはやらない」そう睨むも、久米はちっとも怯まずに、
「そうやって我関せずじゃクラスから浮いちゃうよ?一緒にやろうよ」にこにこ笑って腕を掴んだ手を離さない。
クラスから浮いたって別に構わないし。
ってか、そんなの面倒!
「じゃぁ実行委員は鬼頭と久米、それから―――」
あたしの考えとは裏腹に水月はスラスラと黒板に名前を書き付ける。
ちょっと!何勝手に決めてんだよ。
「はいはい!俺も!鬼頭がやるなら俺もやる!!」
と勢い良く挙手した梶が最後のメンバーになって、実行委員はあっさり決まってしまった。