HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
乃亜はちょっとつまらなさそうに頬を膨らませた。
「だってぇあの子絶対雅意識してると思わない?」
「あ、それは俺も思ってた。髪型とかメイク…とか?」
「あたしメイクしてないじゃん」
「そうだけど、雰囲気似せてるって感じするよ?」
「そうそ。前はストレートだったのに、夏休み明けから急にパーマかけたし」
「考えすぎじゃない?あたしはパーマじゃなくて、癖毛だし、巻いてるだけだし」
「そんな細かいとこはいいの。ようは似せてるってこと。前なんてピアス一個も開けてなかったのに、最近開けたしね」
と、乃亜は目ざとい。
「何か真面目なヤツがいかにも無理してるって感じだよな」と梶も目を細める。
「あいつ絶対神代先生狙いだよね。前に雅、先生と噂になったらしいじゃん。だから取り入ろうとしてるんだよ」
「あー…そんな感じ。やたらと神代に質問してるしな」
二人はあたしを残して、森本さんのことでかなり盛り上がってる。
そうかな……あたしは全然気付かなかったけど。
ま、関係ないや。
とりあえずこのホームルーム早く終わってくれないかなぁ。
今日は水月の好きなから揚げの甘酢あんかけにする予定だから、早く帰って準備したいんだけどな。
ちなみにあたしと水月は半同棲みたいになってる。週の半分以上を水月のマンションで過ごして、時々家に帰るってのが今の現状かな。
水月はあたしが家に帰らないことを気にしてるみたいだけど、やっぱり一緒に居たいのか部屋でご飯作って待ってると、嬉しそうにしてる。
そんなことを考えながらぼんやりと頬杖をついていると、
「ねぇ文化祭実行委員って実際何するの?」
と久米が突然横から聞いてきた。