HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
―――楠………?
いつの間にこんなもの入れたんだ…
そう考えて、はっとなった。
保健室。
保健室ですれ違うときだ。
あのとき僕はまるきり気付かなかったけど、楠はあのすれ違う瞬間にこのUSBメモリを上着のポケットに落とし入れたに違いない。
でも何で―――
僕宛で書いてあるってことは、読んでいいってことだよね。
「お前へのラブレター?…ってわけじゃなさそうだな」
まこも、ちょっと目を開いて怪訝そうに見下ろしてきた。
表題の下をスクロールしていくと、
“このUSBに書いてあることは全て事実です。でもあたしがしゃべったことは誰にも言わないで。
―――雅にも、絶対に秘密にしてください”
僕はまこと顔を合わせて、それでも意を決して更にスクロールした。
次のページにいくと、驚くべきことが書いてあった。
“雅は―――何者かにストーカーされてます”
僕とまこは目を開いて息を呑み込むと、二人で顔を合わせた。