HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「離してくれ!」
僕が力いっぱい叫ぶと、
「森本!離れなさい!危ないから」僕の腕から森本を引き剥がし、和田先生は拉致があかないと思ったのか、ケータイを取り出した。
「―――先生!僕です!!神代先生が大変なことに」
和田先生は早口でケータイで言うと、再び僕の腕を取り押さえようと必死になった。
体格では負けてるかもれしれないけれど、僕は空手の経験者だ。
しかも※フルコンタクトという道派をやっていた。
(※極真空手。型や組み手を競うものではなく、直接打撃制ルールを採用する会派のことです)
和田先生の動きを封じ込めるだけなら、片腕だけで十分。
僕は和田先生の腕を振り切り、もう一度久米の首を狙ったが、和田先生が必死にそれを止める。
「どうしたって言うんですか!相手は生徒ですよ!!!」
「それがどうした!久米は僕の大切な人を―――」
言いかけたところで、久米が一瞬だけにやりと笑った―――気がする。
一瞬だけ僕の腕が弱まり、その瞬間、
「何やってんだよ!お前は!!」
まこの怒号が響いて、僕は後ろから彼によって羽交い絞めにされた。