HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~


「なぁエスカレートってどうゆうことだ!」


と、梶はまだしつこく聞いてくる。あたしが答えないから乃亜が小声で梶に説明していた。


その会話を聞き流しながら考え込んでいると、ちくりとおなかに痛みが走った。


嫌な痛みにあたしは顔をしかめ、席を立ち上がる。


「どうしたの?」


急に立ち上がったあたしを不思議そうに乃亜が見てくる。


「ちょっとトイレ…」


「あたしも行く」


「俺も!」


と梶も何も考えていないのか、勢い込んできたけど、


「あんたは来なくていいよ。トイレまで一緒だったら変態扱いだよ」


あたしが言ってやると、梶は「そっか…そうだよな」とすぐに思い直したのか、椅子に逆戻り。


―――女子トイレの個室から出て、あたしはすでに洗面台で手を洗っていた乃亜に力なく喋りかけた。


「……来た」


「きたって??」


ハンカチの端を銜えながら手を洗っていた乃亜がようやく洗い終えてハンカチで手を拭いながら、きょとんとして聞いてくる。


「生理。何でこんなときに来るのかなぁって感じだよ」


だいぶ遅れていたのは事実だけど、いっそのこともう少し来ないで欲しかった。


ホルモン剤でも飲まない限り、コントロールなんてできないけど。


項垂れたまま手を洗うと、


「来ないよりいいじゃない」と乃亜が励まして(?)くれた。


「ま、それもそうか」


少し前の月は生理が来なくて妊娠したかも、って本当に焦った。
(※EGOIST 参照)



妊娠―――かぁ……




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