HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「No!No,nonono!ダメ!喧嘩はイケマセンよ~!!」
と、あたしたちの様子を見つけたMissロスが慌てて駆けつけてきた。
梶も乃亜も何事かこちらに顔を向ける。その表情はどこか心配に曇っていた。
ようやくあたしの手から開放された久米は、ネクタイを緩めながらも余裕の様子で僅かに手を挙げる。
「一種のコミュニケーションですから、大丈夫です」
「Really?(本当に?)」
Missロスは疑わしそうにあたしたちを見下ろして、眉をしかめた。
「I'm honest.(本当です)」
久米は柔らかく笑って、「ね?」とあたしにその笑顔を向けてきた。
あたしは無言でMissロスを見上げると、彼女は諦めたように肩をすくめ、
「OK,授業を再開させましょ~」
手を叩いて、周りの生徒たちに注意を促して、立ち去っていった。
それからもOCの授業で特にこれと言った問題も起こらず、一時限目を終えることができた。
ただ回りは何事か探りたがっている雰囲気ではあるけど。
休憩時間になって、久米が早々に席を外したのをいいことに、梶と乃亜がすぐにあたしの机を囲んだ。
「なぁ!久米と何を話してたんだよ。何があったんだよ!」
梶は口調こそ怒っていそうだったけど、顔には心配の色が浮かんでいた。
「何って、別に。ちょっと忠告をね」
そう言ってやると、
「呆れた。あんまり挑発しないでよ。ストーカー犯罪がエスカレートしてきてるんだから」
と乃亜は真剣な顔であたしをちょっと咎めるように睨んだ。
「エスカレートって何だよ!どうゆうことだよ!」
「今は詳しく話せない。だけど確実に犯人に近づいているってことは確かだよ。
それに久米はどう関わっているのか」
あたしは机に上に肘を着いた。