HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
考えてみれば二人が一緒に居るってこと自体、おかしな考えだった。
たまたま優等生の二人が、たまたま何らかの事情で授業に出られなかっただけだ。
深く考えるのはよそう。
そう考えていると、その授業の半ばぐらいに森本さんが後ろの出入り口からおずおずと入ってきた。
「―――…森本、どうしたんだ?」
世界史の先生は咎める口調ではなく、少し心配そうに森本さんの方を見た。
問題児が多いクラスの中で優等生の森本さんは少し特別だ。
先生もやっぱり森本さんみたいな生徒が好きみたい。
「……すみません、少し体調悪くて…休んでました」
森本さんは控えめに言って席に座る。
「おー、そうか」
先生もそれ以上は深く突っ込まずに、すぐに授業を再開させる。
「何あれ~?あたしらと態度違わない?」
と乃亜は不服そうに口を尖らせている。
まぁあたしや乃亜が同じように授業の途中から入ってきたら、この先生は「どうせサボリだろ」なんて、あれこれ説教じみた質問してくるだろうけど。
あたしはそんなことは気にしない。
てか授業を遅刻するぐらいならサボる。面倒。
あたしは相変わらず淡々とした様子で机の上に教科書やらを広げる森本さんをなんとなく眺めていた。
確かに、顔色が真っ青。今にも倒れそうだ。
教科書を広げている森本さんと途中、目が合った。
森本さんはあたしの視線に気付くと最初はちょっと戸惑ったように視線を泳がせて逸らしたけど、すぐに睨むように目を吊り上げてあたしを見てくる。
「何だよ、あの態度」
今度は梶が機嫌悪そうにして、あたしにこそっと喋りかけてきた。
「さあね」
あたしは何でもないように返して、前を向いた。
実際、森本さんがどこで何をしようが勝手だし、興味がない。
だけど
―――結局、久米はその授業帰ってこなかった。
それは―――気になる。