HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~


久米が帰ってきたのは、三限目の体育を迎えようとしていた休み時間だった。


戻ってきた久米の態度は特に変わった様子はなく、


「どうしたんだよ、久米~、さっきの授業出てなかったじゃん、お前が珍しいな」とクラスの男子の質問にも、


「ちょっと具合悪くなっちゃって」と爽やかに返していた。


具合が悪そうには見えなかったけど、どっちかと言うと授業の途中で現れた森本さんの方が倒れそうな顔色だよ。


久米がどこで何をやっていたのか、前なら気にならないけど、今はこの状況が少し不審だ。


でも、こっちもあれこれ詮索してる暇はない。


何せあたしも動かなきゃいけないから。


「乃亜、梶。ちょっと来て」


あたしは着替え前、ロッカールームに向かおうとしている二人を呼び止め、廊下の隅まで連れて行った。


「時間が無いから手短に話すよ。梶、これを今すぐ見て。内容はそれほどないから時間取らないはず」


あたしはUSBメモリを梶に握らせた。


「今から?」


梶はさすがに怪訝そうに眉を寄せたけど、


「今から。見たら次の休み時間に乃亜に渡して。お願いね」と手短に伝えると、


「分かった」と深く聞いてはこずに頷いた。


梶がUSBを制服のポケットにしまいこむときだった。






「こそこそと何をやっている」





A組担任の石原(水月と同じ数学教師、あたしのクラスは担当じゃないけど)が目を吊り上げて、きびきびと歩いてきた。




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