HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
厄介な教師の出現にあたしは顔を歪ませた。
「やべっ」
梶が慌てて制服にUSBをねじ込もうとした手を石原が止める。
「これは何だね」
石原は冷たい声で梶に詰め寄ると、梶は益々焦ったように目を泳がせた。
まずい人間に見つかった。
「何って、ただのUSBですよ」
あたしは内心の動揺や焦りを悟られないようことさら何でもないように言って石原を見上げた。
「そんなことは分かっている。このUSBには何が入ってる」
石原が不審そうにあたしたちを眺め、
「どうしよ…」乃亜が困ったように小声で囁いて、あたしの袖をちょっと引っ張ってきた。
「何ってただの交換日記ですよ。三人の中でブログみたいに書き込んでるんです」
内容は濃いけど、その説明は外れてはいない。
あたしは説明したけど、石原は疑いの眼であたしたちをそれぞれ眺め、
一番動揺している梶を一睨みすると、
「何故こそこそする必要があるんだ。まさか犯罪に関わることが入っているんじゃないだろうな」と声を低めた。
「まさか」
すかさずあたしが被せたけど、一度向けられた疑いの目はそうそう逸らせそうにない。
「まさか試験問題じゃないだろうな」
何でそうなる……呆れてあたしが目を細めると、石原はさらに怪訝そうにあたしを睨んできた。
「君は成績優秀だが若干授業や普段の生活に問題があると聞いている。不正に試験を行っているんじゃないかね」
「なんでそうなるんだよ!」
石原の的外れな質問に、梶が目を吊り上げた。
聞けば随分なことを言われたもんだ。
「だっておかしいじゃないか。私のクラスの生徒たちを抜いて、君はいつもトップだ。君も、成績上位者だったね」
石原は睨むようにあたしを見てきて、さらには疑いの目を乃亜にまで向けた。