HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「あんたの居場所は久米が代わりに座っててくれる。
あんたにはもう用がないの」
あたしってさいてー
一番酷いことを言って梶を傷つけたと思う。
だけどさいてーなことを言わないと、
梶を守れない。
もう二度と、あんな危険な目には遭わせられない。
あたしたちの友情よりも命の方が重いんだよ。
梶を守るなら、あたしはそんなちっぽけな友情さえも
手放すよ
それで梶が助かるなら、いくらでも
「………っ!」
梶は何かを言いたそうに口を開いたけど、やがてそれを飲み込んで口を引き結ぶと、
「……勝手にしろよ…」
低く呟いて、きびすを返した。
梶の気配が遠ざかっていく。
あたしは梶の方を見られなかった。
梶を視界に入れちゃうと、あたし泣くかもしれないから。
最低なことを言って梶を傷つけたのはあたしなのに…
自ら手放した手に、また縋りたくなるから。
思えば梶はあたしがどんなことをしようと、何を考えていようといつも一緒に居てくれた。
楽しいときも悲しいときも―――辛いときも。
あたしの数少ない友達。