HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
あたしは乱暴に久米の手を払うと、
「すっごい自信だね。でも、あたしだってあんたを好きになんてならない自信はあるよ」
「じゃあ俺がんばらないとな」
あたしの嫌味にも堪えず、にこっと笑う久米。
食えないヤツ。
そんなやりとりをしていると、梶があたしたちの机に走り寄ってきて、あたしの肩に手を置くと乱暴に振り向かせた。
「鬼頭…!昨日のことだけど」
「何?」
不機嫌そうに睨むと、梶はたじろいだようにあたしの肩から手を退けた。
「…な、何じゃねぇよ……昨日言ったこと…あれ、マジかって…」
「本当のことだよ。前からあんたを鬱陶しいと思ってたの。
マジでうざい。纏わり付かないで」
そっけなく言うと、
「本気でそんなこと考えてんかよ」
と梶が苦しそうに眉を寄せてあたしを見下ろしてきた。
本気じゃないよ。
そりゃ確かにウザいときはあったけど、でもあたしは何だかんだで梶が居てくれて良かったと思う。
梶が友達でいてくれて
あたしは救われたこともたくさんあった。
あたしはその手をあっけなく手放そうとしている。
ううん、手放さなきゃいけないんだ。
「あんたの代わりなんてたくさん居る」
あたしは久米の方を見ると、久米は何も言わずに肩をすくめてみせた。