HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
結局、一味で真っ赤に染まった牛丼を、それでもあたしが作ったからと言う理由で明良兄は辛さに涙を浮かべながらも残さず全部食べてくれた。
あたしたちはそれを見て笑った。久しぶりの―――団らんだった。
失いたくない―――。
あたしの周りの人たちが狙われるのは、その人たちと絆が深いから。あたしが大切にしているから。
「明良~、ほっぺにご飯粒ついてるよ~」無邪気に笑った乃亜の手が明良兄の頬に伸び、
「うっせ、分かってるよ」と鬱陶しがりながらも恥ずかしそうに笑う明良兄。
――――あたしはまるで不幸を呼びよせる女みたい。好きになったら、愛したら―――きっと
破滅する。
でも、そうはさせない。
あたしは彼ら全員の笑顔を守ってみせる。
―――――
――
次の日、あたしたちはちょっと早めに起きて、乃亜と明良兄には一足早く実家に戻ってもらった。それとほぼ入れ違いで、
久米が迎えにきて、制服に着替えたあたしが久米を出迎えた。
一緒に登校するため。
こうゆうのいかにも“恋人”っぽくない??