君のためにできること
送信ボタンを押した。


・・・ちゃんと送れたようだ。エラーにはならなかった。


でも、まだ安心はできない。


携帯電話をテーブルに置いた。


時間ばかりが流れ、一向にメールが返ってくる様子もない。


目の前に置かれている、コップの中の氷が溶け出し、量が増していた。俺は一息にそれを飲んだ。


「なつき、待たせているようで本当にごめん」


「いいよ、別に。優の手震えているけど、だいじょうぶ?」


「・・・ああ」


なつきの視線が痛い。時間が神経を蝕み始めていた。


一時間ほど、経っただろうか。俺の集中力がなくなりかけて、諦めていたその時。


「あ・・・」


頬杖をついていた、なつみが声を漏らした。





携帯電話が、ゆっくりと、震えていた
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