家族になろうよ!
二人、並んでパリパリと音を立てる。
「これって、売店に置いてあるやつだよね?私もよく食べるんだ。おいしいよね!」
早乙女那美は少し興奮気味だ。
「一箱で一日分のカルシウムが摂れるってすごいよね!本当に効果があるのかは分からないけど、こういうの、つい試しちゃうんだ。大きくなりたいんだもん。私、みんなよりすごく小さいから……」
女子も身長を気にしたりするのか。
でも、いいじゃないか早乙女那美は。
小さいのが武器になってる。
「気にすること、ないと思う。俺なんて男なのに、こんなんだし……」
ああ、何言ってんだ俺は。
わざわざ自分から小さいアピールしなくてもいいじゃないか、そんなの見れば分かるんだから。
励まし方なんて他にもっといくらでもあるのに、ほんと間抜けだな。
机に散らばったウエハースのカスに自分を重ねて肩を落としていたら。
「大丈夫だよ」
いつもなら気休めにもならん冗談だと、お世辞にもならない嫌味だと切り捨てたくなるような言葉を、早乙女那美は無邪気に言った。
「服織女くん、足も手も大きいもん。きっと、これからぐんと伸びるんだよ」
大丈夫、大丈夫、と心地良い声が歌うように繰り返している。
笑みを浮かべる丸い頬に、心が温められていく。
どうしよう。
嬉しさとか、喜びとか、既存の言葉にこの気持ちは収まりきれない。
生まれて初めて、大きいと言ってもらえた!
俺は席を立った。
とてもじっとしていられなかった。
外の空気でも吸わないと、胸が爆発してしまう。
雲の上を歩くような心地で廊下に出たら、凌と鉢合わせた。
「斗馬クンおはよ。今日は早いね……って、どうしたの?」
「凌……俺、もう死んでもいいかも」
「ええっ?もしかして俺が昨日いろいろ言ったせい?そうなの?うわぁごめん死んじゃヤダ!」
的外れなことで騒ぐ凌の慌てぶりすら愛しく見える。
今なら、本当に成仏してしまえそうだ。
そう思ったときに、成仏しておけばよかった。