鬼
オレの今の姿は、ちゃんと”人の形”をしている。
…というのは、この両手首にがっちりとはめられた腕輪のおかげだ。
これはじいちゃんが鬼の力を封じる為に作ってくれたもの。
じいちゃんたちに拾われた時のオレは”鬼”だったが弱っていたし、理性もあった。
だからじいちゃんたちは、鬼の姿のままでも特に心配しないで大丈夫だろう、と思ったらしい。
しかし、ある部分がぽっかりと穴が開いたようにオレの記憶から抜けている。
そこの部分だけはどうやっても思い出すことは出来ない。
……覚えている事は、
オレは意識がなかったみたいで、気付いた時にはベッドに寝かされていた。
そして傍にはシュウと傷だらけのじいちゃんがいたということだ…。
どうやら記憶がない部分というのは、”鬼”のオレが出現してじいちゃんを攻撃していたようだ……。
シュウは、幸いじいちゃんに守られて無傷であった。
じいちゃんは、意識がないのに攻撃し続けるオレにかなり苦戦したらしい…。
でもやっとのことでオレ……鬼の気を失わせて事は解決した。
それ以来、鬼の暴走を食い止めるために鬼の力を封印するこの腕輪をオレに与えたのだ。