ポーカーフェイスとあまえんぼ


『……。』


再び訪れる沈黙。

なんだろう、これ。

気まずいけど、
なんだか心地いい。

帰りたいけど、
帰りたくない……。


「あの、」


沈黙を破ったのは、
葵くんだった。


「ん?」

「千里さんのアドレス、聞いてもいいですか??」


恥ずかしそうに聞く葵くん。


「あ……ぅ、うん。」


私は携帯を取り出して、


「赤外線?」


と葵くんに尋ねた。

葵くんは、ポケットを探ったあと、“しまった。”って顔をした。


< 35 / 211 >

この作品をシェア

pagetop