他がために悪はある


荒地を墓場に変える中、一刃が彼女に踏み込む。


重い一撃だった。

受け止めた拍子に奥歯を噛み締め、欠けたかもしれない。


「ほお、受けるか」


戦場には似つかわしくない男の声だった。


相手を押して、何とか間を取り、彼女は踏み込むも先ほどの焼き回しにすぎなかった。


交差する剣は、歯ぎしりのような音を立てている。


「なあ、あんたの正義はなんだ?」


男が足蹴りを食らわした。腹に入ったそれは、彼女を吐瀉させて、後方に倒れさせる。


その間、男は彼女に馬乗りになり、その横顔に剣を突き立てた。


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