Liberty〜天使の微笑み
プロローグ


 私自身、そこまで男運がないとは思ってなかった。

 だけど周りから言わせれば、私は酷い人と付き合っている……らしい。





「俺の言うこと聞いてればいいって言ってんだろ?!」





 今、私はカレの実家の部屋にいる。

 もう夜の十一時を回ったというのに、未だ帰らない私を心配して、夜は危ないからと言うカレの母親の声が聞こえるんだけど……。


「アイツの言葉なんて聞くことねぇーからな!」


 カレは、それを無視しろと言ってきた。


「で、でも……ここのところずっ」

「返事は!?」

「っ!?…………わかっ、た」


 今のところ、暴力を振るわれたことはない。

 時々口調が荒いけど、本当はやさしいし、私のことを思ってくれる。だから不満なんてなかった。


「お前が言うこと聞かないから、アイツがつけあがるんだぞ!? いっちょ前に気なんて使うんじゃねぇーよ」


 日に日に、言葉の強さは増している。それでも一緒にいるのは、カレのことが好きだから。二つも年上なんだし、カレの考えの方が正しいって、本気で思ってた。





 だから……自分がDVを受けてるなんて、想像もしなかった。


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