Liberty〜天使の微笑み
第1話 綻ぶ関係
大学二年生の夏。二学期の始まりを告げる始業式が終わると、私は食堂前のベンチで友だちを待っていた。
携帯に連絡があってから既に三十分。
すぐに来るってあったけど……また何か頼まれてるのかなぁ?
ちょっと退屈した頃、こっちに向かって走ってくる生徒が見えた。目が合うなり、その人は更に速度を上げた。
「ごっめ~ん! 結構待たせちゃったよね?」
来るなり謝ってきたのは、私を呼び出した張本人の福原美緒(ふくはらみお)。顔の前で手を合わせながら、申し訳なさそうにしていた。
こういうことはよくあるから、私は特に文句を言わず、さっそく話しをしてもらった。
「実は……嫌かもしれないけどさ」
美緒にしては珍しく歯切れが悪い。面倒なことでもあったのかなぁと思えば、
「紅葉(くれは)……今夜の合コン参加して!!」
突然、そんなお願いをされた。
「えっと……。私、カレシいるの知ってるよね?」
美緒だって海さんがいるのに。合コンって、相手がいない人が行くものなんじゃないの?
「元々ボーリングしようって集まったんだけど、そーいうのも組んでくれって男子の方が騒いじゃって。女子の中にもそーいう目的の子がいるからいいんだけど、一人行けなくなったのよ」
「それだと、私が行くのは悪いんじゃ」
「そこは大丈夫! 紅葉は私と同じく遊びオンリーだって伝えとくし。ってか、大人数で遊ぶとか久々でしょ? たまには彼氏ばっかりでなく、私の相手もしてほしいなぁ~」
「もう、学校では毎日会ってるじゃない。甘えた声出さないの」
まぁ、私たち以外にも遊びに来る子がいるならいいかな。
みんなで遊ぶだけだし、カレに心配させることはないよね。
「やっぱり、彼の許可がなきゃダメ~?」
「そんなことないって。二人きりじゃないんだし、美緒たちがいれば大丈夫。ちゃんと相手がいるってこと、言っておいてね?」
「もちろん! お迎えは五時過ぎぐらいに行くから、準備よろしく」
「ありがとう。じゃあそろそろ帰ろっか?」
「ごめん、私まだやること残ってるから」
美緒は面倒みがいいから、こうやって何かを仕切ることは珍しくない。姉御肌って言葉は、美緒のためにあるんじゃないかって思うよ。