Liberty〜天使の微笑み
あれから意識して、絵を描いたであろう少女を探していると、何度か、それらしき子を見かけた。けれど、声をかけるチャンスはなかなか訪れることはなく……数回見かけただけで、初めてその子を見かけてから、もう一年が経っていた。
空は灰色に染まり、今にも雪が降ってきそうな天気。
凍てつく空気が、今日はいつにも増して肌に突き刺さるほどあって。日が暮れるにつれ寒さは増していき、マフラーに首を引っ込めながら駅へと歩いていた。
「―――――!」
入り口に目をやった途端、オレは、その場に立ち止まった。
そこにいたのは、胸元まで伸びたダークブラウンの髪をした少女。手には画板らしき物を持っていて、空を、じーっと見つめている。
あの少女だと思った途端、視線はもう、その少女に釘付けだった。
「………」
何、見てるんだ?
自然と、オレも同じように空へと視線を向ける。けれど、何があるという訳でもなく。空は相変わらず、灰色の薄暗い感じでしかなかった。
「あ、れ……今まで、いたはずなのに」
視線を駅へと戻すと、さっきまでいたはずの少女は、もうそこにはいなくて。足早に駅へと向かうと、少女は、待合所で何かを描いていた。