Liberty〜天使の微笑み
第6話 求める心
幸希さんが探りを入れると言ってから、数日が経った日。その結果を報告するからという電話を受け、オレは自宅で、幸希さんが来るのを今か今かと待ちわびていた。
チャイムの音が鳴りドアを開けると、幸希さんだけでなく、そこには意外な人物の姿があった。
「初めまして。幸希の彼女の、鈴木愛美です」
「悪いな、どうしても来たいって聞かなくて」
「いや、いいですよ。むしろ、手間とらせてすみません」
リビングへ通し、二人の前に飲み物を出すと、鈴木さんの方から話が始まった。
「結論から言うと――紅葉ちゃん、典型的なデートDVね」
わかっていたが、それを第三者にも言われると心苦しい。何より、その原因が自分の身内なんだから。
「手を擦り合わせる仕草が多いし、何より、左頬が痙攣してる。まぁ、本人が気付かない程度の軽いものだけど、かなりストレスが溜まってる証拠ね。――それとこれ、一応仕掛けてみたの」
すうっと、カバンから何かを出す鈴木さん。テーブルに出されたそれは細長いペンのような形の物で、何をするのかと見ていると、静かにしてねと言ってスイッチを入れた。
ジーッという機械音がしばらく続くと、誰かの会話が聞こえてきた。
『……いいとしても。二人で――出かけたら、迷惑かけるから行くな』
それは、アニキの声。
耳を傾けると、続けて聞こえたのは市ノ瀬の声だった。
『誘われてるのに、それはちょっと』
戸惑う声が聞こえたかと思うと、次に聞こえたのは、イライラとしたアニキの声。
『んなもん、いくら……理由つけれるだろう』
『で、でも……一緒に、遊んでみたい、し』
『だから、迷惑、なる……やめろって言ってんだよ。―――……言うこと、聞けないわけ?』
時折、音が擦れるものの、それでも何を話しているのかはわかる。
しばらくの間が続いた後、再び、アニキが言葉を発した。