【続編】長男のカゴ
あたしもすぐに結婚なんて言われても踏み切れない。



「怜が頑張ってくれてるから。俺、雷の会社じゃなくて、まず普通に就活してみようって思ってんだ」

「普通に?」

「うん、修行。俺の実力っての、試してみたいし」



善はあたしより現実的かもしれない。



ちゃんと考えてるんだ、自分の未来…。



「だけど怜と会えないとかムリだし…。毎日顔合わせてて、急に離れるとか、なんか寂しいだろ?」

「うん…」

「同棲は必須で…」

「はい…」

「給料とかたぶん安いけどな!!」

「あたしも働くっ…から…」

「そっか。なら問題ねぇな。一緒に頑張ろう」



あたし…よくわかんないけど善と同じ気持ちだと思う。



話してわかったよ。



「離れたくない…です…」

「俺も離れたくねぇ」

「なんか…照れるね…」

「手探りで探して行きてぇんだ、俺の道。着いてこいなんて言わねぇから。ただ一緒にいて?」

「うん…」



大学には行かない。



あたし、善との未来が欲しい。



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