好きって言えない。
「なんで泣いてんだよ?」
あの、面倒くさがりな彼がここまで追いかけてきたことに驚いた。
帰るとき、面倒くさいからと送らないくせに。
こんなときだけ、追いかけてくるなんて。
ズルい…。
「離してよ!!」
おもいっきり腕をふったところで、男の人の力には敵うはずもなくて。
アタシは彼から視線を反らした。
「彼女がいるならいるって言ってよ!!」
変に期待を持たせたりしないでよ。
「なんで追いかけてくるの?
いつものコウなら来ないくせに」
こんなときばっかり。
アタシなんて、引き留めたところで、なんにもなんないのに。
「あの子に誤解されちゃうよ?」
涙が次々と溢れる。
泣きたくないのに。
彼の前だけでは、泣きたくなんてなかったのに。
「泣いてるお前をほっておけるわけないだろ!!」