今度はあなたからプロポーズして
恭一はフゥ~と一息吐くと、
シャツの裾を捲って時計を見た。
時計の針は、
午後3時を過ぎたばかりだ。
まだこんな時間かと恭一は、
心の中で軽く舌打ちを入れた。
秋とはいえ、陽射しは容赦なく
恭一の疲れた体に突き刺さった。
小脇に抱えたジャケットがうっすらと汗で滲んでいる。
先に歩き出した留美を目で追うと
少し離れた所で振り返って、
笑顔で大きく手招きしている。
その笑顔は久々のデートを
心底満喫しているようだ。
「まぁ、これも
サービスの一環か……」
恭一は半ば諦め気味に
ポツリと呟くと、
小走りに留美の後を追った。