今度はあなたからプロポーズして









いや、わしだって、
できるものなら引き止めたかった





春江はわしの中で、
既になくてはならない存在だった





じゃが、
単なる皿洗いに何ができる?





良家の娘として育った春江を
幸せにできるのか?





ご両親は絶対に反対されるだろう

いや、するに決まっている。





良縁の話が持ち上がっているのだ





苦労するとわかっている道を
どこの親が愛娘に歩かせよう?





ご両親だけではない。
周りからも祝福されることは
まずあり得ない。





それでも幸せだと
春江は感じてくれるのだろうか?






わしについてきたことを
悔やんだりはしないだろうか?






そんな状況を覆せるほどの
自信もなければ、
勇気も出せなかった。







たとえ春江が
想ってくれていたとしても、だ。










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