今度はあなたからプロポーズして
突如沸いた不足の事態。
困り果てている恭一に
気が晴れたわけでもあるまいが
積もった不満は残らずぶちまけた。
留美はフンっと首を振って、
睨み続けていた視線を逸らすと
「どうせ止めたって
行くんでしょ?
だったら、
さっさと行きなさいよ。」
と吐き捨てると、
近くにあったベンチを見つけて
どっかと腰を降ろした。
座るなり恭一とは逆の方を向いて
殻に閉じ籠るように腕を組んでいる。
腕組みして微動だにしないのは、
何も聞き入れないという留美の癖だ。
何がこんなに?と
留美の熱の上がりように戸惑いながらも
一応は承諾を得た…はずだ。
強張っていた恭一の表情が
静まる動揺とともに緩んでいく。