愛LOVE…
――あんたの方があたしより20センチ以上もデカイんだから、そうそう頭なんて殴らないわよ。


昔はよく直哉の形のいい頭を叩いていたのだが、中学生の頃からは急に身長が伸び始めたのをきっかけに、それもできなくなった。

「俺の頭が悪くなったら加奈のせいだ」

なんて本人は言っていたが、今頭が悪いのは直哉が勉強をしないからだ。

高校受験だってちゃんと勉強して、最初の志望校より全然高ランクのここ霞城高校に合格したのだから。


人間、やる気と目標さえあれば頑張れるんだと思う。

もしその時に結果が出なくても、努力した事や知識は自分の力になるのだ。


「ありゃ、殴んないの?そうかキスしたのはもう時効か。ワハハ」

――やっぱりキスしたんじゃん。

頭を殴れない代わりに、ズボンの上から太股を思い切りつねってやった。

「いぎゃぁあ!!」

すると直哉はカエルが潰れたような声を出した。
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