愛LOVE…
得意気に人差し指で鼻を擦っているが、そんな事知っていても自慢にもならない。

普通にみんな知っている事だし。

――ってか、何でキスする事は知ってるのに、デートは知らないのよ!!

しかも、これってとても答えにくい質問だと思う。

どう答えようかと悩んでいる間にも、彼はあたしに答えを促す。

「なぁなぁ、いつだ?いつキスするんだ?」

「あー!!もぅ、うるっさいわね。キスなんてね、そんなのしたい時にすればいい……んんっ!」

突然目の前が真っ白になった。

「これでいんだよな?したい時にキスするんだろ?今したかったからしてみた。でも、レモンの味なんかしなかったぞ」

「な、な、な……」

怒り、いや、怒りを通り越して呆れてしまった。

ムードも何もない、不意打ちのキス。

――あたしのファーストキスなのにぃぃぃ!!!

悔やんでも悔やみきれない。

したかったからしたなんて、そんなのありかと言いかけて、それを口には出さずにグッと飲み込んだ。

だってそれは、今あたしが言った事なのだから。

自業自得というやつか。
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