部活~ウチらバスケ部~高校編 ファイナル
佐紀は、OG達が、
大勢見に来てくれていることが、
“勝たなきゃ”という
プレッシャーになっていた。
そして、インターハイの切符が
ちらつき始めると、その勝ちを阻むミスが、
許せなくなって来たのだった。
明らかに、佐紀の顔は、変わっていた。
しかし、皆、佐紀を信頼してるがゆえに、
それが、わからないでいた。
三田は、悩んだ。
三田も、坂井と同じことを、考えていた。
“ここは、一発殴るのが、
一番、効果的だ。
しかし、殴れば、
テクニカル・ファウル。
ベンチから退場になるかも知れない”
しかし、今や甲陽は、チームとして、
機能しなくなっている。
“このままでは、終わった後、
あいつらには、後悔しか残らない。
たとえ負けたとしても、納得して、
終わらせてやりたい”
そして、三田は、覚悟を決めた。
“サキを替える事は出来ない。
もし今、替えたなら、サキは一生、
自分を責めるだろう”
例え、テクニカル・ファウルになろうとも、
佐紀の、目を覚まさせようとした。
三田は、佐紀を殴るため、一歩、前に出た。
「サキっ!」