部活~ウチらバスケ部~高校編      ファイナル

すると梨沙が、三田と佐紀の間に立ち、
佐紀の頬を、思いっきり、つねった。


  「どの口が、文句を言ってるんだ。
   この口か、えっ、えっ」


佐紀が、

  「痛いよ。リサ、痛いよ」


そう言って梨沙を見ると、
梨沙の目は、イッパイ、涙を溜めていた。

佐紀は、梨沙の涙を見て、ハッとした。



審判が、ピッと笛を吹き、注意した。

  「君、君っ」


しかし、


  「すみませ~ん」


と梨沙が言い、手を離すと、
審判は、それ以上は、何も言わなかった。



梨沙は、佐紀を諭すように、


  「サキ。負けたって、いいじゃん。

   こんなの、私らのチームじゃない。
   私らのバスケットをしようよ。

   それで負けたって、いいじゃん」


  「そうだよ、私らのバスケット、
   しようよ」


  「サキ」


  「サキっ」


佐紀は、皆の顔を見て、“フー”と、
大きく、息を吐いた。

すると、佐紀の顔から、
“勝ちたい”という憑き物が、落ちた。

穏やかな顔になる、佐紀。


  「ゴメン。私、どうかしてた」


それを見た三田が、皆に、語りかける。


  「さあ、最後の舞台じゃないか。
   最高のパフォーマンスをしよう。

   いいか、今だぞ。
   今を積み重ねて行けばいいんだ。
   結果なんか、気にするな。
   今を精一杯やるだけだ。

   いいな、行くぞ」

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