部活~ウチらバスケ部~高校編      ファイナル

オフィシャルのブザーが鳴る。

佐紀が、声をかける。


  「最後まで、頑張って行くよ。
   イチ、ニッ、サン」


  「ファイ」


佐紀は、いつもの佐紀に、戻った。

そして皆、力強い足取りで、
コートに戻って行った



三田は、大きく、息を吐いた。


  「ふ~」


ベンチに腰を下ろすと、横にいた梨沙が、


  「コーチ、殴ったら、
   テクニカル・ファウルですよ」


そう、笑いながら言った。


  「お前、知っていたのか?」


  「あの顔、見たら、
   誰でも、わかりますよ」


  「そうか、ありがとう」


  「いえ、あんなサキ、
   見たくありませんから」


そう言って梨沙は、スコアに、目を落とした



甲陽のリズムが、戻った。

甲陽に、スーパースターは、いない。

華子にしても、完璧ではない。

みんな、互いに助け合い、補い合って、
ここまで来たのだった。

だから、リズムが狂うと、崩れるのも速い。

しかし、リズムの戻った甲陽に、
もう、怖いものは無かった。



再び、甲陽は、双海を引き離し始めた。

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