キミ色
「上手くいってんの?」



そう鋭くついてきた美波さんに俺が勝てるハズなんてなかった。
何故か美波さんの前では、嘘をつくことがこんなにも難しい…



「解んない…」



正直何もかも、もう解んないんだ…
こんな俺の腐った心を美波さんは救ってくれますか…?



「櫂…、アンタが辛い想いをしてるのは、あの子に…?…それとも、自分自身の心に?」




…ドクンッ



たった今の一瞬で、俺の心を掴まれた気がした。



美波さんには、何もかも言わなくちゃ…。
全部、打ち明けなくちゃ…。


いや…違う。
俺が、聞いてほしいんだ…。




この苦しくて張り裂けそうな想いを…
もう自分自身の中だけでは、どうすることもできないこの心を―…




本当はずっと誰かに助けて欲しくて―……。



“大丈夫だよ”って、“間違ってないよ”ってそう言って欲しくて―…




俺を安心させて欲しかったんだ―……





もう…、俺の頭だけでは背負いきれないから―……




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