キミ色
「あんたが愛してるのは、蓮ちゃんじゃない…。」




「─………」




何も言葉を返せない。
そんな自分自身がまた憎い。


そんなことないって…
嘘だって…



言えない自分がいる。



そんな自分が憎くて悔しくてたまらない。
否定できない自分が嫌で仕方ない。




「櫂を責めるつもりはないよ。ただ、自分の本当の気持ちと向き合わなきゃダメだよ。曖昧な感情は、時にヒトをどん底に突き落とすことがある。」




「解ってる…、解ってるよ…そんなこと。」



「解ってない!だったら、早く答えだしてあげなさいよ!?」



「─………」



「いつまで蓮ちゃんを苦しめ続けるの?櫂がはっきり決着をつけないから、余計に傷付いていっちゃうんだよ?」



そのことも良く解る。
蓮の苦しみを作ってるのは俺だって…



気づいてた。
自分の行動が全て傷つけてるんだって…



でも、目を背けてたんだ。
その真実を聞くのがどうしても怖くて…




逃げてたんだ─……





< 208 / 323 >

この作品をシェア

pagetop