キミ色
白いカーテンの隙間から月が顔を覗かせる。



お前も俺を見下してるのか?



何も解ってない俺を馬鹿にしてるの?



当たり前だよな…
俺は弱い。
まだまだ…弱すぎる―…



傷つくのが怖くて何も出来ない臆病者だ―…。



美波さんは何も間違ったことを言ってない。
間違ってるのは、俺の頭の中だ。



「ねぇ、櫂…?」



その声に美波さんの方を向くと、美波さんは静かに目から滴を零していた…。



「…み…美波さん…?」」



何で…?
どうして美波さんが泣くの?



「どうして、時雨は空羽ちゃんと付き合おうとしたんだろうね…?」



え…



俺はその美波さんの問いかけに答えられなかった…。



そう言われれば、時雨にまだ聴いたことがなかった。
何故、空羽を好きになったんだろう…?



そんなに仲が良いわけでもなかった。
運動場から一瞬だけ見て、あいつは空羽の彼氏になるって言ったんだ…



時雨は誰でも良いような軽い男じゃない。一目惚れっていうのも、どこか似合わない気がした…。



じゃあ…何で―…?
余計に解んないよ…



その時、プシューという炭酸の音と共に美波さんの声が響いた。




「時雨もあんたと一緒の気持ちだったんじゃない…?」




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