キミ色
「それでは、只今より1学期終業式を始めます。礼!」



生徒指導の気合いの1言で、体育館に集まった全員の生徒が一斉に頭を下げる。
俺もそんな生徒の中の1人だ。



ったく…
めんどくさ。



この言葉以外何も浮かばない。
しかも、この暑い7月にこんな箱の中に入れられて、蒸し風呂状態の体育館はもはや暑いを通り越している。



「なぁ、櫂!勝負しねぇ?」



そう言ってきたのは、俺の前に並んでる園田だ。
楽しそうな目でこちらを見る園田は、俺の返事を待っている。



「勝負…?」



「そう!今から始まる校長の話、何分に終わるか近かった方が1本奢るってのはどーよ?」



…は?
くだらねぇ…



こいつは、正真正銘の馬鹿だ。



「俺、パス」



その俺の返事に園田は悲しそうな表情を見せて、また前に向き直った。



ノリ悪くて悪いな…。
でも、この尋常じゃない暑さの中でそんなくだらない遊びをしてたら、余計に惨めに思えてきそうだ…。



俺は、上にある大きな窓から空を見上げた。
ふわふわと気持ちよさそうに雲が浮いている。



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