キミ色
ごめんな…時雨。
俺が1番お前の気持ちを解ってやれるハズなのに―…



不器用すぎるんだ。
俺は時雨みたいに器用じゃないから、周りのことまで見えてなかった。



時雨も苦しんでたんだな…
花音のことが好きすぎるから―…



「櫂も時雨も馬鹿だよ…、本当に…馬鹿だ…よ…。」



美波さんは最後にこう言うと、机にうつ伏せになり目を閉じた。
目には滴を残しながら―…。



俺は缶の中に残っていたビールを飲みほし、美波さんの背中に毛布をかけてひっそりと家を出た。



一歩外に出ると広がるのは、夏の夜。
ひっそりと静まり返っている町。



でも、そんな中でも夜空だけは眩しいぐらいに光っていた。



ピカピカと光を放ちながら空を装飾するのは、数えきれないほどの星。



その真ん中には、まん丸の月がいる。



お前は俺の背中を押してくれるか…?
それとも、まだ見下してる?



恋愛も友情も全て不器用な俺を責めてるのかな…



でも…、1つだけ俺のお願いを聴いてくれないか―…?




もう少しでいい…
俺に勇気を下さい―…



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