キミ色
花音…


名前の通り、花の似合う可愛い音色のような子だった。
真っ白な心、純白と言う言葉がぴったりで。


真っ白い透き通るような肌に、真っ白いワンピースを着ていて…


正義感があるわけでもなく、ましてや消極的なわけでもなくて。


とにかく全てが真っ白だった。
何色にも染まっていない真っ白なキャンパスのように。


そんな純白の心に色を染めたのが、時雨だった。



花音と時雨…。



誰が見てもお似合いだった。
まさに美男美女という言葉がぴったりといえるぐらいに。



でも、ある日をきっかけに変わってしまったんだ…


距離というのは残酷なものなんだね…。



花音は急に消えてしまったんだ――…



その日は時雨の誕生日だった。


花音はいつもと変わらない元気のいい笑顔を見せて、家を出ていった。


でも、それが最期だったんだ―…。



あんなに適当に言った“ばいばい”という言葉が、本当に永遠の別れになるなんて知る由もなかった…。




交通事故に巻き込まれた花音は即死だと医師に告げられたんだ…。



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